富宏染工

―京都ならではの感性と美意識―

京都は、長い歳月の中で「きもの」という文化を、人から人へ、大切に伝えてきた町です。単なる装いの型としてだけではなく、そこには、きものを愛する人の心と技、暮らしがあります。 たとえば、四季の移ろいに心を動かす細やかさ、喜びや遊び心をおしゃれで表現するしなやかさといった、京都ならではの感性と美意識。職人が丹精こめた手仕事。伝統文化に親しむ教養。美しい所作でつむぐ丁寧な暮らし……。

私たち富宏染工は、それらが息づくきものの楽しみを、現代を生きる女性にお届けしようと、染匠として京手描友禅に取り組んでいます。

染匠とは、意匠の考案から染めの仕上げまで、15前後に分かれた京手描友禅の工程を統括する、いわばプロデューサーの役割のこと。工程のひとつひとつにある職人の伝統の技を、完成された美へと導いていくのが、私たちの仕事です。 多くの人の手により作られ、妻へ娘へ孫へと愛情をこめて用意されるきものには、人の思いという宝物が詰まっています。京都に受け継がれたそのような宝物を、先人たちにならい、私たちもまた未来へと伝えてまいります。

〇富宏染工のきものづくりの特徴〇

京手描友禅は分業で作られ、複数の職人の手仕事を結集したものだからこそ、すべての工程で常に最高の技術が発揮されなければいけません。理想とした作品のイメージや製作意図も一貫したものでなければいけません。そのため富宏染工株式会社では、ほぼすべての工程の職人を自社工房で守り育て、ここにしかない高度な技を用い、志をひとつにして制作を続けています。その結果、友禅の鮮やかかつ奥行きのある色づかい、優美で繊細な文様を際立たせることが可能になるのです。

通常の挿し友禅では筆を用いますが、弊社ではより深みを出すために、細部に至るまで刷毛を使用しています。こうすることで、生地の糸の芯まで色が染み込み、奥行きが増します。
そして、白色を作る胡粉は、既製品を用いる工房が多いなか、弊社では艶やかな白にこだわり、昔ながらの技法で胡粉を乳鉢で練って使用しています。

また、友禅染の一般的な工程では、細かい文様に着色(挿し友禅)した後、「から蒸し」をして、文様の部分に糊を置き(伏せ糊)、地の部分を染める(引き染め)ところを、弊社では、この工程の繰り返しによって色が変化するのを避けるため、伏せ糊の工程をやめて、文様に着色(挿し友禅)した後、続けて地の部分も刷毛で染めています。
そうすることにより、工程途中での色の変化を防ぎ、思ったとおりの色が染め上がり、同時に、自由な色の組み合わせやバランスのとれた仕上げ、地色を多彩に染めることが可能になります。このような高い技術力は、自社工房で職人を育てるという環境があってのことです。

富宏染工
富宏染工
富宏染工
所在地 北海道中京区蛸薬師新町西入不動町175-9
電話番号 075-221-2743
Website URL http://www.tomihiro-kyoto.com/jp/about/index.html

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