矢鋪與左衛門窯

矢鋪與左衛門窯は日本磁器発祥の地、佐賀県有田町にある白磁を中心とした窯元です。有田焼400年の伝統を受け継ぎ、今では珍しくなった磁器ロクロによる手作りで、一品一品心をこめて製作しております。

窯の特徴
一口に有田焼の窯元といっても、各々その特徴はさまざまです。ここでは、矢鋪與左衛門窯を特徴づける要素のひとつひとつを解説していきます。

白磁
白磁壷白磁とは白素地に無色の釉薬をかけ、高温の還元炎で焼き上げて作る磁器のことです。その歴史は古く、6世紀の中国に起源が求められるともいわれます。以来、その美しさと希少性から、宮廷や大名間の贈答品としても珍重されてました。
日本において現代に連なる磁器のルーツは16世紀、朝鮮半島から来た陶工によってもたされました。当地、有田の泉山で白磁に適した磁石を含む地層が見つかり、当時から白磁は焼かれ続けてきました。そのため有田は日本磁器発祥の地と呼ばれています。
絵付をせず、その造形で作家の世界を表現する白磁は「ごまかしがきかない」といわれます。磁器ロクロを習得するのに膨大な時間を要するのに加え、ほんの少しのキズ、たったひとつの降りものでも作品としては成立しなくなります。

技法(内山の技法)
白磁壷一口に有田焼といってもその作られ方は一様ではありません。「小物」と呼ばれる分野の場合、大きく2つに分けられ、それぞれ「内山の技法」、「外山の技法」と呼ばれています。
泉山から採掘された磁石(じせき:磁器をつくる土の原料)のうち、質のよいものは内山で卸され、そこでは主に美術品や贈答品が作られました。外山では比較的庶民向けの焼き物が作られたといわれています。
内山の技法はロクロのみで成形をやり終える技法です。径の大きさや高さはもちろん、曲線の角度や大きさまでも揃えるには相当の技量を要します。この技法を身につけるために、ロクロ師は身を粉にして鍛錬を重ねます。
昔は有田焼の技法の中核を担っていた内山の技法ですが、実は現在ではほとんど伝承されていないというのが現状です。
矢鋪與左衛門窯では、今では失われつつある伝統の技法を忠実に受け継ぎ、昔ながらの有田焼の美しさを現代に伝えています。

ロクロ体験
ロクロ体験陶器のロクロ体験は国内各所でできますが、磁器ロクロの体験となると、行われているところは限られます。
矢鋪與左衛門窯では開窯当初から研究を重ね、これまで数多くの実績を積み上げてきました。当窯工房での体験はもちろん、有田陶器市や個展・催事会場、さらには小学校や中学校でロクロ体験授業を行っています。
当窯でのロクロ体験では、土の上げ下げから作品制作後の土からの切り離しまで、ロクロ師が通常おこなう行程のひとつひとつを一通りすべて体験していただけます。
ロクロ体験はすべて無料(焼成希望の場合は焼成料が必要となります)ですので、本格的な磁器ロクロを存分に楽しんでいただけます。

また、学校での体験授業ではロクロに加え絵付の体験も行い、児童・生徒のみなさんに本物の土の感触と、手作り・手描きのおもしろさを伝えています。真剣なまなざしで体験に取り組む子どもさんたちの歓声と笑顔は、指導する側にとってもこれ以上ない喜びです。

矢鋪與左衛門窯
矢鋪與左衛門窯
矢鋪與左衛門窯
所在地 佐賀県西松浦郡有田町岳乙3360-2
電話番号 0955-46-4925
Website URL http://yozaemongama.com/

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